04_未来につながる、森のクラフト～40年守られつづける、間伐材の美学～ | 20 stories ～for Sustainability～

紀州漆器の産地、和歌山県が誇る世界遺産の熊野、中辺路では森林育成に欠かせない間伐作業が行われます。
しかし、発生した間伐材は利用価値のないものとして廃棄されてきました。
間伐材をなんとかして有効活用できないものか・・・。
その思いから生まれた
木のうつわ、「自由節形」。

SDGsが語られるはるか前から、地元の森と、産業を守るための取り組みをご紹介いたします。

使うこと＝森を守ること。

「世界遺産・熊野」の森と、大切な間伐作業

「世界遺産・熊野」神話の時代から神々が宿る特別な地として、人々を魅了し続ける和歌山県熊野の山々。
この良質な森の土壌から生み出される「ヒノキ」材は、紀州銘木の名で知られ、高級建材として国内外の建築物に使われます。

その森を正しく管理・育成するうえで欠かせないのが、間伐作業。
この間伐材を有効利用するために、集成材として加工する加工場が、1986年、熊野、中辺路町（現田辺市）の事業によって立てられました。
現在、ヒノキの集成加工場として存在するのは全国でこの地のみとなります。

和歌山県田辺市役所　森林局の　小坂周一　さんにお話を伺いました。

まず、こちらの加工場では高さ3ḿ～4ḿ、直径10㎝～16㎝の小径木を加工します。
この大きさの木は需要が少なく、市場に出すことはできない木で、本来は焼却されていました。

木は、上に向かって伸びるため、上の方が細くなっています。
その木を余すことなく使うため、最初に60㎝～66㎝にカットし、部分ごとに製材します。
これは木を捨てずに余すことなく使うことが目的です。

半分にカットした後、約3カ月から半年、天日乾燥させ、その後人口乾燥させます。

人口乾燥に使われる熱は、端材をバイオマスボイラーにて焼却する際の熱を、
昼間は再利用し使います。

そのあと、斜面60度の台形にカットされます。

台形にカットする理由は、限りなく円に近い状態＝無駄のないかたちであるということと、接着面が斜めなので広く、ゆがみが少ないという点にあります。

木材をカットしている動画

そのあと、国土交通省認定のホルマリンの含まれていない接着剤にて接着され、ブロック状の板が完成します。
枝につながる「節（ふし）」も、パテ埋めされて、水が漏れることのない材になります。

また、この作業はすべて人の手によって完成します。
地元の森と、産業を守る。そして地元の雇用も守る。約40年一貫して続けられている、持続可能計画の一環です。